-
口内炎・口腔がん
- cancer
何かのタイミングで口内炎ができてしまったとき、「しばらくすれば治る」と考える人がほとんどでしょう。たしかに、口内炎の大部分は自然に治癒していきますが、もしもなかなか治らないようなら、口腔がんの可能性も考えられるため、なるべく早めに歯科医院で診察を受けるべきです。
当院では、口腔がん治療専門医(口腔外科指導医)による診察を実施しているため、不安な方はお気軽にご相談ください。
口内炎とは
口内炎とは、口唇・舌・歯肉・頬粘膜などの口腔粘膜にできる炎症(赤み・腫れ・ただれ・白斑・水ぶくれなど)を指します。多くの口内炎は1~2週間程度で治癒しますが、2週間以上続く場合は、その他の病気が隠れている可能性は否定できません。不安に思ったら、口腔外科や耳鼻科を受診するようにしてください。
口内炎の原因は、大きく2つにわけられます。
1:さまざまな口腔内のトラブルから起こる場合(局所的な原因)
- 歯ぎしりや不注意で噛んでしまった(咬傷)
- 歯磨き不足による口腔内の不衛生
- 虫歯や詰め物があたっている
- 歯並びが悪かったり、親知らずがでてきたりした
- 入れ歯が合っていない
- 熱い食べ物や飲み物などを原因とするやけど
- タバコ・アルコールの摂取
- 口腔乾燥(ドライマウス)
2:全身の変化から起こる場合(全身的な原因)
- 疲れや睡眠不足によるストレス
- 風邪や手術後の体力低下
- ビタミンB群や鉄分などの栄養素不足
- 上部消化管障害(逆流性食道炎)
- 薬剤によるアレルギーや副作用(ステロイドや抗がん剤)
- 放射線治療や太陽光(紫外線)によるダメージ
- 細菌、ウイルス(手足口病・ヘルペス)、真菌(カンジダ)などの感染
- 免疫系の異常(自己免疫疾患)
- 全身性皮膚疾患や全身性疾患の症状の1つ
口内炎の種類
アフタ性口内炎
一般的に「口内炎」と呼ばれているものの多くは、「アフタ性口内炎」です。数ミリの白色潰瘍が1つもしくは複数発生し、触ると痛みがあります。
カンジダ性口内炎
抗菌薬を内服したり、手術後や寝たきりによって免疫力が低下したりしている状態だと、菌交代が起こり口腔粘膜や陰部に白色病変ができます。カンジダそのものは常在菌のため問題ありません。しかし、増殖してくると白色や赤色の病変となり、粘膜痛が起こります。治療には抗真菌薬が有効ですが、間違って市販のステロイド性口内炎治療薬を使用すると逆効果なため、注意してください。
ウイルス性口内炎
ヘルペスウイルスは、口腔粘膜に潰瘍を作ったり、口唇に水疱(すいほう)を形成したりします。こちらも市販の口内炎治療薬は逆効果であり、抗ウイルス薬を早期に使用するのが望ましいです。また、小児にできるウイルス性口内炎は、手足口病やはしか、ヘルパンギーナなどのケースが多く、小児科の受診をおすすめします。
歯肉炎・歯周炎・智歯(親知らず)周囲炎
歯の周りの付着した歯垢や歯石が原因で、歯肉の腫れ・出血・痛みなどの炎症が起こります。治療方法としては、歯科医院でのブラッシング指導・歯石除去・投薬などが一般的です。
口腔がんとは
口腔がんとは、口腔領域にできる悪性腫瘍です。口腔内にできる口腔がんの多くは、粘膜の上皮から発生する扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)であり、好発部位は舌・歯肉とされています。
口腔がんの症状
口腔がんの表面は、白く隆起している白斑型・ブツブツした状態の腫瘤(しゅりゅう)型・粘膜が剥がれた潰瘍型の3つにわけられます。いずれも見た目が悪く、「硬結」と呼ばれるしこりを感じられるのが特徴です。症状が進むことで、出血や痛みを伴う場合もあります。口腔がんは、良性腫瘍と比較して病気の進行が早いのも特徴のため、早期の治療が必須です。
他のがんと同様、口腔がんが自然に治癒することはありません。もしも口内炎が2週間以上続くような場合は、口腔がんの可能性もありますので、口腔外科を受診するようにしましょう。
当院では月に2回、口腔がん治療専門医(口腔外科指導医)による診察を実施しています。
口腔がんを早期発見・治療しましょう
口腔がんは他の臓器に発生するがんとは異なり、目に見える部位にできます。目視でチェックできますので、月1回のペースで良いので鏡の前でセルフチェックをするようにしましょう。
口腔がんを予防する2つの方法
口腔がんはその他のがんと比べて発生率が少ないがんですが、できる可能性は0ではありません。そこでここでは、2つの予防方法をご紹介します。
定期検診
1つ目の予防方法は万一に備えて、定期的に歯科医院を受診することです。当院では、CT検査と細胞診による口腔がん検診が受けられます。自費治療になりますが、健康のためにもぜひ積極的に受診するようにしてください。
セルフチェック
2つ目の予防方法は、月に1度自分の口腔内を鏡でチェックすることです。チェックポイントは、しこりやただれ・腫れや変色が起きていないか。怪しいと感じた場合は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
口腔細胞診~口腔がんが疑われたら~
口腔がんが疑われる場合に、実施されるのが口腔細胞診です。口腔細胞診は、子宮がん検診と同様に、がんが疑われている粘膜を綿棒などでこすって細胞を採取します。
口腔細胞診は、口腔がんの多くが粘膜の表層にできる特性を利用した検査です。細胞診で判明した異型の程度によって、5段階評価を実施。その後、より詳しい検査が必要となれば、病理組織学検査を実施するパターンもあります。
口腔がんの治療方法
口腔がんの治療方法は、原則的として病期(ステージ)によって異なるのが特徴です。また、がんの発生部位・患者の年齢・既往歴・合併症など、さまざまな要因を踏まえて慎重に治療方法を検討。口腔がんの治療としては、手術療法が主体となりますが、進行度によって化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を組み合わせた集学的治療が実施されます。